建設経済研究所 は、1982年9月1日に、建設業保証会社3社の出捐を受けて設立された非営利の研究機関です。設立以来、安全で快適な国土の形成と建設産業の振興に貢献し、地域の発展に資することを目指して、社会資本整備および建設産業に関する理論的かつ実証的な調査研究活動を行っています。また、当研究所が主唱しアジアコンストラクト会議を開催するなど、海外諸国との交流も活発に行っています。活動の成果は、日本経済と公共投資に関する政策提言、建設投資予測等としてとりまとめ、一般に公表しています。
我が国の社会資本整備はこの半世紀余の間に急速に進められ、国民生活の向上と経済の発展に寄与してきましたが、建設投資はこの20年近くの間に半減し、新たな整備ニーズや増大する維持更新需要への対処が懸念される状況になっています。一方我が国の財政及び社会保障は抜本的な対応を迫られていますが、国民生活の安全を確保し、産業発展の基盤となる社会資本は、着実に整備していく必要があります。
東日本大震災は国土の安全対策の重要性を改めて痛感させるものですが、何よりも被災地の1日も早い復興に向けあらゆる対策を迅速に進める必要があります。同時に、少子高齢化、エネルギー制約、環境問題などの様々な制約要因の下におけるこれからの国土利用のあり方を改めて考え、真に必要な社会資本を明らかにしてその整備を進め、安全な国土の再構築を急ぐ必要があります。
建設市場の低迷が続く中、社会資本整備の担い手である建設産業、とりわけ地域の安全に貢献してきた地域の建設業は、新たな展開方向の模索を続けていますが、意欲と技術力に優れた建設企業が成長できるような環境整備を進め、建設産業を魅力ある建設産業に転換していくことも急がれる課題です。
当研究所の調査研究活動が、そのような議論を深め、実効ある政策立案等の一助になれば幸いです。